著者は「野口体操」や「愉気法」・「活元運動」などでよく知られ、17歳にして整体の道場を立ち上げた、稀有な才能の持ち主です。
さて、この本は、野口氏の独特な言い回しで綴られますが、野口氏の観察眼は鋭いもので、今、医療従事者が「疾病利得」と呼ぶ患者の心理的な症状の特徴なども書かれています。
中盤からは、かなり具体的な整体法が写真つきで示されていますので、勘の良い人ならこの写真と文章を読んでかなりの効果を実感できることでしょう。
松岡正剛氏のサイト、千夜千冊にもこの本が紹介されており、こんな文章で締めくくられています。
野口晴哉は「全生」を思索した。『偶感集』に「全生」という一文が入っていた。こんなふうにある。
「一日生きたということは、一日死んだということになる」
「生に向けるとは何か。死に向けるとは何か。この解明こそ全生のあげて為すことてある」。
これは「本物」だ。
http://1000ya.isis.ne.jp/0676.html
・・・たまたま私も、ニューヨーク滞在中、某国大使婦人が私邸で開催される「活元運動」の会に時々参加していました。
その婦人は、ご自身のかなり重篤な症状を治すことに「活元運動」が奏功したことがきっかけとなり、その会を持たれていました。
それがきっかけとなり、彼女は私のP.S.1のスタジオを訪ねてくださったり、私邸でランチをご馳走して下さったりという交流を持つこととなった思い出深い経験です。
さて、この本の最も大切な点は、野口氏の提唱する「自分で自分の身体を治す」ことの奨励でしょう。
私も鍼灸の施術のほか、専門的な整体とまではいかなくとも、患者さんご自身が自動運動を少しずつ試みられることをお勧めしています。
少しずつ、楽しめる範囲で試みていきましょう。ご一緒に。:)
☆『整体入門』野口晴哉著(ちくま文庫刊)
http://www.amazon.co.jp/%E6%95%B4%E4%BD%93%E5%85%A5%E9%96%80-%E3%81%A1%E3%81%8F%E3%81%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E9%87%8E%E5%8F%A3-%E6%99%B4%E5%93%89/dp/4480037063
はり・きゅう治療院 じんじん