2014年5月29日木曜日

「医事 自然に如かず」 杉田玄白の書

国立科学博物館で開催中の「医は仁術」展 (http://ihajin.jp/) で、杉田玄白の直筆の漢詩の掛軸が初公開されている、というお話を先日こちらのブログで紹介させていただきました。

実は我が家にも、杉田玄白の掛軸が一幅あります。


・・・こちらは大塚美術社による精巧な複製ですが、肉筆に見紛う仕上がりです。
なんと書いてあるか、読めますか?

 
「医事 自然に如かず  八十五翁 九幸老人○」

私の治療院じんじんに相応しいメッセージとして、連れ合いが手に入れてくれました。(感謝!)WWW  :)

玄関を開けるとまず、最晩年にしてこの力強い筆致を誇った、能書家でもあった杉田玄白のこのメッセージが、目と脳に飛び込んできます。
(”写し”ということに安心して、紫外線の強い今の季節でも仕舞いません!)

解体新書(『ターヘルアナトミア』の翻訳本)の著者であり、当時最先端の西洋医学に親しんだ蘭方医の精鋭として活躍した杉田玄白にしてこの言葉・・・たいへん感慨深いですね。

この掛け軸の直筆も上記の展覧会に出品されているのでは、と期待して出かけましたが、出品されているのは別の一幅でした。:)

治療の合間に、ぜひゆっくり眺めてみて下さいませ。


◎「医事 自然に如かず  八十五翁 九幸老人○」については、以下にとても面白い説明が。
http://yuwakai.org/ikiikijinsei/doctsukamoto45.htm
http://www.obamahp-wakasa.jp/hospital/byoin/genpaku.html

はり・きゅう治療院 じんじん

2014年5月25日日曜日

見て楽しく学んで愉しい大展覧会! 「医は仁術」展

「医は仁術」展を観に、国立科学博物館へ。


 主に、江戸時代に展開した西洋医学の新しい知識への取り組みと、身体に対する医術をめぐる医術・仁術、そしてその”捉え方”が実に貴重で豊富な大量の資料とともに示された、たいへん優れた大展覧会です。


漫画、テレビ、映画で大ヒットした「仁」の制作陣の一部も関わっているようで、同作品のお話の世界の時代の医療を中心に据えた展示内容です。
(ちなみに、”仁”とは儒教における最高徳目で、私の治療院「じんじん」の由来のひとつも、この「仁」です。)

77年ぶりに発見された杉田玄白の直筆の漢詩の掛軸や、山脇東洋の掛け軸とされる作品なども初公開されています。

感心したのは、この時代に日本でも発達を遂げた鍼灸・漢方医療についてもたいへん核心を突いた資料と解説が公正に展示されていることでした。

第二展示会場では、現在の最先端の医学資料を概観する構成です。
ips細胞がプレパラート上に固定(分裂を止めてある状態に)した現物が展示され、顕微鏡を覗いて見ることができます・・・長蛇の列を耐えてネ。++;)

医学に対する、手探りともいえるような瑞々しい眼差しを感じます。
そして、おそらく誰もがすこし医学や医療に自分も関われるような糸口を感じる展示内容になっているのではないかな、と思います。:)

和綴じの展覧会カタログも力の入ったデザインと内容で、鬼のマーク(金棒を持った鬼でも腹イタにはかなわない?という江戸時代の薬の看板の意匠)を配した「おでかけ用おくすり袋」の楽しいオマケも秀逸。:)

ヴィジュアルの資料や絵巻物、人体模型なども多いので、見て楽しく、学んで愉しく分かりやすい展覧会です。


 解説を読み込みながら観覧する方が楽しいと思います
ので、少し長めに時間をとって、ぜひぜひお出かけくださいませ。

2014年6月15日(日)までです。:)
http://ihajin.jp/


はり・きゅう治療院 じんじん