2013年1月14日月曜日

じんじんの「紫雲膏」その1:由来・使用例など

じんじんでは、主に灸の施術の際に「紫雲膏」を使用いたしております。

この「紫雲膏」は、口に入れても安全な上質の生薬を用い、日本薬局方の作法に基いて院長がすべて手作りしております。

雪に降り込められた、成人式の今日(新成人のみなさま、ご成人おめでとうございます!)、4時間ほどかけて、新しく新年用の「紫雲膏」を心をこめて、集中してつくりました。

「紫雲膏」は、麻酔薬を花岡青洲(※1)が作った外用薬とされています。

明の時代に陳実功という人が書いた『外科正宗』という本がありますが、そこに潤肌膏という処方が載っています。
潤肌膏は紫根、当帰、ゴマ油、オウロウ(黄蝋)という四味から構成された軟膏です。
その潤肌膏に豚脂を加えてつくったのが実は紫雲膏です。(※2)
「紫雲膏」は、かゆみや炎症を伴う皮膚の症状全般と、火傷、そして”ぢ”の特効薬としてよく知られています。

近年では、蚊に刺された時に、皮膚が弱いお子様にも安心して使える虫さされの際の塗り薬としても人気が高まってきています。

ご高齢の常連患者様が、「どうも痒くなって寝ている間に強く引っかいてしまって・・・」と仰り、お腹の引っかき傷をお見せになられました。

痒みの原因は、皮膚の乾燥から来るもののようでした。

その方は、掛かりつけの皮膚科のドクターからも、かゆみ止めの塗り薬をいただいているそうですが、じんじんの手作り紫雲膏を塗ってさし上げたところ、たいへん快適そうで、次の診療の際にも塗ってほしいとご所望されました。

このような皮膚の乾燥、敏感肌、体調・加齢などによる、特に痒みや炎症を伴う皮膚症状がおありの際は、市販品も含めて生薬で出来た、ステロイドの副作用の心配のない、安心して使える「紫雲膏」をお試しになられてもよいかも知れません。


※1一番有名なのは「華岡青洲の妻」というような形で出てくる、いわゆる曼陀羅華、朝鮮朝顔の種子を使った麻酔薬で、世界で一番最初に麻酔薬を実際に人間に試したという話です。
この紫雲膏の応用ですが、例えば紫雲膏に伯州散を加えたり、あるいは紫雲膏にコイのうろこを黒焼きにしたものを加えて、それで乳癌のときに使ったり、あるいは切開した後に紫雲膏を塗ったのではないかといわれております。

※1、※2とも出典:
◇第10回漢方治療研究会特別講演「紫雲膏について」
清水良夫氏(清水藤太郎のお孫さん。清水藤太郎:「日本薬学史」にて薬学博士取得。東邦大学教授・名誉教授。大塚敬節、矢数道明氏ら昭和前期の漢方普及啓蒙活動の中心人物になった、いわゆる七人の侍の一人。著書に『漢方薬物学』『漢方治療の実際』(共著)など多数。)の講演録から。


はり・きゅう治療院 じんじん

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